憲法と法律の適用される対象者には明確な違いがあります

法律と憲法は異なります。法律とは、国が国民に対して定めるルールのことを言います。法律と憲法が大きく異なるのはルールが向けられる対象です。

法律が国民の行動を想定して定められたルールであるのに対し、憲法は国の行動を抑制するために設けられたルールです。広く誤解されている点ですが、憲法を守る義務があるのは国と国に仕えて勤める公務員であり、国民が守るべきなのは法律です。

国会は日本で唯一の立法機関なので法律を制定できます。国会では国民によって選ばれた国会議員が審議を行い、賛成が多く得られた法案が法律として制定されることになります。

総理大臣及び内閣は行政機関であり法の機関ではありませんから、単独で法律を制定することは不可能です。総理大臣が法律を制定したい時は国会に法案を提出し、審議され可決されてようやく新たに法律を制定することが許可されます。法律より憲法が優先されるため、憲法に違反する趣旨の法律は認められません。

法律が憲法に違反しているかどうかをチェックする権限のことを違憲立法審査権といい、日本では最高裁判所だけが違憲立法審査権を保持しています。

最高裁判所で違憲と判断された法律に関しては国会での速やかな話し合いによって、違憲状態が解消するように法律を改正する必要があります。

日本国民であれば誰もが法律を課されるのですが、特別な立場にある場合にはこの限りではありません。例えば国会議員は不当な政治介入を防ぐため、不逮捕特権が承認されていますが、これが法律上の例外規定の典型です。

法律には文言として明確に規定された成文法のほかに、慣習や運用によって規定される法律の慣習法というものがあります。

狭義の意味で法律という言葉を使ってみる場合、慣習法は法律として含まれないが、どんな法律が運用されるのかによって規定する慣習法は法律の効力を判断するための重要なポイントになります。慣習法は字のとおり慣習や運用により決まるため、判例実績により効力が生まれる前列主義の法律です。

あくまでも慣習によって規定されるものなので、時代の流れに従い変わるものもあります。